「初任給引き上げ」が面白くない

年が明け新年度まで3ヶ月を切り、今年も有名大企業から「初任給引き上げ」のニュースが続々と舞い込んでくるようになりました。そのうち春闘も本格化し、しばらくは賃上げ関連のニュースが世間を賑わすようになるのでしょう。

ここ数年、人手不足に端を発する人材獲得競争の激化により、「初任給」を”大幅に”引き上げるというトレンドが形成されています。近年は「官製春闘」や物価高などもあり賃上げそのものが進んでいますが、初任給に関しては通常の賃上げを上回る水準の引き上げが行われています。

まだまだ日本では人材採用といえば新卒採用が主流ですから、その主戦場たる新卒市場で激化する人材獲得競争に勝つためには、初任給の引き上げが必要だという理屈です。しかも、若手社員に関しては定着率が低いう課題もあるため、なおさら初任給、若手給与の引き上げへのインセンティブが働きます。

これによって近年では多くの企業で、初任給・若手偏重の賃上げが行われているようです。

しかし、このような初任給・若手偏重の賃上げが多くの企業で行われた結果、中堅社員と新入社員が大して変わらない給料で働いている、という現象が多くの企業で生まれているようです。企業によっては「逆転現象」すら起きていると聞きます。

正直、中堅社員からしたら、面白くはないですよね。

私も入社10年目の中堅社員ですが、全く面白くありません←

いやだって、今の会社を支え、引っ張っているのは中堅以上の社員たちなのに、まだ会社に何の貢献もしていない新入社員・若手社員が優遇されているわけですよ。こんなの絶対おかしくないですか?

10年目の私の給料は、今年度の初任給と比べて14%しか高くありません。10年働いて、しかも1等級昇格しているのに、新入社員と1割程度しか給料が変わらない。今の初任給をベースとしたら、毎年千円札数枚程度の昇給しかしていないことになります。

実に馬鹿馬鹿しいです。

百歩譲って、その上がった初任給のおかげで本当に優秀な人材が入社していればまだ分かります。が、景気改善・売り手市場によって、中堅・中小企業に入ってくる新入社員のレベルは上がるどころか下がっているのが実情ではないでしょうか?若者の人口は明らかに減っているわけで、「上澄み」をすくえる企業以外は多少待遇改善したぐらいではレベルの維持すら困難な状況です。

新入社員が自分たちとあまり変わらない給料を貰っているくせに、しかもその新入社員のレベルが下がっている・・・。

既存社員のモチベーションが上がらないというのも当然の話です。

そもそも、初任給大幅引き上げで話題になる企業って、有名大企業ばかりです。平均年収1,000万円を超えるような会社であれば、20万円台後半や30万円なんて通過点でしかなく、初任給が多少上がったところで大した問題ではないのでしょう。

しかし、中堅・中小企業で初任給・若手給与が急に上がれば、単に中堅社員との差が縮むだけです。

結局、身の丈にあった賃上げが大事なのではないでしょうか。そもそもの給与水準が低いのに、初任給だけ見栄を張って引き上げても、綻びが生じるだけでしょう。

そろそろ既存社員を大事にする賃上げへの揺り戻しが来て欲しいですが、しばらくは初任給・若手偏重の賃上げトレンドは続きそうですね。。

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