第50回衆議院議員総選挙の感想 ―もたられるのは熟議か混沌か

10月27日に衆議院議員総選挙がありましたね。

国政選挙皆勤中の私はもちろん今回も投票。夕方あたりに投票に行ったのですが、割と投票所は出入りがそれなりにあり、国家規模の祭りと考えたら興奮しました←

今回の選挙は投票先をどうするか結構迷いました。最近は自民党以外に入れるという選択をすることが多かったのですが、衆院選は本来は政権選択選挙です。しかし、今回の選挙で自民党以外に入れようと思っても、政権を担える野党が存在しないわけです。立憲民主党は規模は大きいけど左翼活動家の党だから論外だし、かといって国民民主党も日本維新の会も弱小政党で政権を担えない。そもそも今回野党に政権交代するまでの勢いは無い。つまり今回の選挙では政権交代は起こらない。じゃあ、自民党がただ負けて、石破総理が早期辞任するような事態になったら、次に出てくるのってカルト保守の高市かイメージだけの進次郎なわけですよ。もうそれは地獄です。だったら、今回は自民党に入れた方がいいのかなぁ?と。

でもまあ、最終的には小選挙区は自民党、比例は国民民主党にしました。小選挙区は元々自民候補が圧倒的に強くて今回も当選は確実、対立候補も立憲と共産しかいないし、だったら自民でいいやと。比例は自民にしようかなぁと迷いましたが、最終的には支持政党である国民民主に。

で、選挙結果はまさかの自民・公明の与党が過半数割れ。しかし政権交代まで行くレベルではなく、第一党は引き続き自民党が維持、立憲民主党はそれなりに議席増、国民民主党が大躍進。

あれだけ国民が“待望”していた石破総理の誕生、「新政権発足直後で支持率が高いうちに解散して選挙で大勝」という定説もあり、議席を減らすことはあっても与党過半数割れは無いかと選挙前までは思っていたのですが、意外でした。情勢の報道も「自民単独過半数割れ→与党過半数割れ→自民200議席割れ」とどんどん悪化していき、失速っぷりが目立ちました。もっとも、石破総理の解散をめぐる豹変っぷりなどが失望を呼び急失速の原因となるなど、自滅した感もありますが。ちなみに前回の総選挙では情勢調査の精度が低いことが話題になりましたが、今回は情勢調査通りになりましたね。

麻生太郎は新政権発足直後に解散をしなかったが為に次の総選挙で大敗し下野、菅義偉は新政権発足直後に解散をしなかったが為に政権基盤を確立できず1年で退陣、そして石破茂は逆に新政権発足直後に解散をしたが為に総選挙で大敗・・・選挙、政治ってのは難しいんだなぁって思います←

しかし、この結果は政治が不安定化するんじゃないか?と心配になります。

結局、主要な勢力はどこも過半数には及ばない。与党過半数割れと言っても、政権交代するには共産党を含めた全ての野党が結集しないと過半数には届きません。でも、「立維国れ共参社連立政権」なんてあまりにも非現実的です。公明党が野党勢力に参加すれば、共産党やれいわ新撰組などがいなくても過半数に達しますが、さすがにちょっとそれも無理ですねw

となるとやっぱり自公に第3極の維新か国民民主がくっつくしかない。しかし、維新や国民民主は野党だから支持されているわけですし、自民党中心の既存の連立政権に取り込まれることによって手枷足枷をかけられ埋没し、急速に支持を失うリスクも非常に高いでしょう。まさに第3極がキャスティングボートを握った形にはなりましたが、難しい選択を迫られていると思います。

現時点ではまだ選挙後の構図は決まっていませんが、どうなるんでしょうかねぇ〜。今回大躍進した国民民主の動向がキーになっているようですが、連立入りには否定的なようですね。閣外協力で自公に与するのか、あくまでも是々非々で向き合い、自公が少数与党で政権運営していくのか…?

いずれにしても自公が他の政党の協力を得ないと政策を通せなくなりますし、これがいい方向に作用すれば良いのですが…。

この選挙結果がもたらすのが「熟議の時代」なのか「混沌の時代」なのか、どちらになるでしょうか…。

▼以下、付録パート

報道各社の獲得議席予想、当たっていたのは?

投票時間の8時が過ぎるとテレビ局(NN)が一斉に獲得議席予測を出しますが、各社の予測を見比べてみましょう。

NN自民公明立憲維新国民れいわ共産参政社民その他
TBS1812715935277103115
日テレ17424157372815103116
テレ朝200271423527883114
フジ1842516137278921
テレ東18425161362779
結果191241483828983115

NHKは幅のある数値しか出していなかったので除外しました。テレ東は参政党と社民党の数字は出していなかったようです。

どこかが突出して精度が良いというのは無いように見えますが、精度の悪さでは日テレがちょっと目立つ感じがします。

個人的に注目したい選挙区当落一覧

  • 青森3区:立憲民主党 小沢一郎が当選
    前回の総選挙では衝撃の小選挙区敗北・比例復活当選となった小沢が今回再び小選挙区を確保。もっとも相手が裏金議員(藤原崇)だったということも大きそうです。
  • 埼玉14区:公明党 石井啓一 代表が落選(比例重複立候補なし)
  • 東京7区:自民党 丸川珠代(裏金)が落選(裏金のため比例重複立候補なし)
    参院から鞍替えして出馬も、裏金議員のため比例の重複立候補ができず落選。しかし、なんでわざわざ参議院から鞍替え出馬したんだろう。まさか総理を目指すわけじゃあるまいし。
  • 東京11区:無所属(自民非公認) 下村博文 元文科大臣(裏金)が落選
  • 東京17区:無所属(自民非公認)平沢勝栄(裏金)が当選
  • 東京24区:無所属(自民非公認) 萩生田光一(裏金)が当選
  • 神奈川16区:自民党 義家弘介(裏金)が落選(裏金のため比例重複立候補なし)
    ヤンキー先生、落選。
  • 神奈川20区:自民党 甘利明 元幹事長が落選
    前回の総選挙では現職自民党幹事長ながら小選挙区で落選し比例復活当選となっていたが、今回は自民党内規の比例定年制により重複立候補できず落選。大物のイメージだけどそんなに嫌われているんだこの人・・・。
  • 愛知1区:日本保守党 河村たかしが当選
  • 和歌山2区:無所属 世耕弘成が、自民党 二階伸康らを破り当選
  • 大阪3区:公明党 佐藤茂樹 副代表が落選(比例重複立候補なし)
  • 兵庫9区:無所属(自民非公認) 西村康稔(裏金)が当選

現職大臣落選とかもありましたがもとが無名議員だし、個人的に注目の当落はこんな感じですね。

自民党の裏金非公認10人のうち、当選したのは平沢・萩生田・西村の3氏なのですが、いずれの選挙区も野党乱立となり当選を許してしまったのが悔やまれます。私は本来「野党共闘」に対しては批判的ですが、裏金非公認の選挙区ぐらいはある程度候補者の統一をして良かったのではないかと思います。特に東京17区(平沢当選)は国民+共産、東京24区(萩生田当選)は立憲+国民or維新で当選者の得票数を上回るので、落選させることができたんじゃないかと思います(国民or維新の支持者は必ずしも立憲に入れるわけではないでしょうが…)。兵庫9区(西村当選)は、野党統一が必要なのでここはなかなか難しかったようです。

裏金議員は44人中27人が落選と、基本的には強い逆風が吹いたようです(これに離党&鞍替え出馬の世耕(当選)と、辞職&再出馬の宮沢(落選)の2人を入れるかどうかで各社の誤差があるもよう)。

衆院選では、政治資金収支報告書に不記載などがあった自民党の前議員ら44人に強い逆風が吹き、27人が落選した。

「不記載」44人中27人が落選、旧安倍派や閣僚経験者ら…比例重複なしで20人が届かず – 読売新聞

そして公明党は1ヶ月前に就任したばっかりの石井代表と佐藤副代表が揃って落選するという緊急事態に。いずれも比例重複立候補していなかったとはいえ、党勢の退潮が明らかになる結果でした。現役の代表が落選するというのはで2009年もありましたが(太田昭宏 代表)、その時は政権交代選挙だったことを考えると今回の事態の深刻さが窺えます。

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