去る10月31日、第49回衆議院議員総選挙が行われましたね。
私もちゃんと投票に行きました。正直、今回の選挙は期待感や高揚感が無く、投票に行くかどうかすら迷ったのですが、「国政選挙投票率100%」を死守するために投票に行きましたw
与党で過半数を確保という結果自体は予想通りでしたが、自民党が単独で過半数どころか絶対安定多数を確保、立憲民主党は議席を増やすどころから減らすという展開は予想外でしたね。自民、立民の減った分は維新が得る形となり、一気に4倍の議席に。結果的に自民党が勝利、立憲民主が敗北、維新が漁夫の利(?)、という感じでしょうか。
まあ、今回の選挙で政権交代の見込みが無かった以上、実質現状維持の結果となりひとまずは混沌が訪れることが無さそうなので、その点は良かったんじゃないかと思います。
主要政党の公示前勢力と選挙結果
自民党:276議席→261議席(議席占有率58%、15議席減=5%減)
立憲民主党:109議席→96議席(議席占有率21%、13議席減=11%減)
日本維新の会:11議席→41議席(議席占有率9%、30議席増=372%増)
報道各社の予測、外れてない?
しかし、今回の選挙は報道各社の情勢調査が結構外れていたのが印象的でした。
特に、出口調査を経て精度が上がるはずの、投票締切の8時と同時に打たれた獲得議席予測も結構外れていたのは意外でした。
この選挙は、岸田総理・総裁のもと「自民党が単独過半数を確保できるかどうか(最大43議席減に踏みとどまれるか)」というのが分水嶺されていましたが、報道各社の事前の情勢調査では自民党が単独過半数を確保できるかどうかは「微妙」な情勢というのが大方の見方でした。
自民党は公示前勢力(276議席)から減らす可能性が高いが、公明党と合わせれば過半数(233議席)を維持する見通しだ。63選挙区で接戦となっており、立憲民主党は接戦区の状況が好転すれば、大きく議席を積み増す可能性がある。(中略)立憲は公示前勢力(110議席)の上積みを視野に入れる。(中略)日本維新の会は大きく支持を伸ばしている。(中略)全体で、公示前の11議席から3倍増となる30議席台に乗る勢いだ。
自民議席減・与党過半数の公算 立憲上積み視野 毎日新聞序盤調査(毎日新聞
自民党は単独での衆院定数の過半数(233)維持が微妙な情勢だ。(中略)立民は、優勢な小選挙区を序盤の30から七つ増やすなど公示前の110議席から30近く増やす可能性がある。(中略)維新は拠点の大阪で、19ある小選挙区の半数以上を制しそうだ。比例選でも20議席台に乗せる可能性があり、公示前の11議席から3倍超をうかがう。
自民の単独過半数維持は微妙、立民が議席増・維新は勢い保つ…読売・衆院選終盤情勢(読売新聞)
主要メディアでは唯一、朝日新聞が自民党単独過半数を「大きく上回る勢い」と、実際の結果に近い予測を出していましたね。
①自民党は公示前の276議席より減る公算が大きいものの、単独で過半数(233議席)を大きく上回る勢い②立憲民主党は比例区で勢いがなく、公示前の109議席からほぼ横ばい(中略)立憲は、選挙区では公示前の48議席を上回る公算が大きい。競り合っている65の選挙区が、議席を上積みできるかどうかの焦点。(中略)一方、比例区は勢いに欠け、公示前の61議席を10議席以上、下回りそうだ。(中略)日本維新の会は、公示前の11議席から3倍近くに増える勢い。
自民が単独過半数確保の勢い、立憲はほぼ横ばい 朝日情勢調査(朝日新聞)
内閣支持率だと各社のスタンスや質問方法によりバラツキがあるものですが、選挙情勢調査が違うのはどのように捉えていいか分からず困惑しました。
当日の選挙特番を観て「自民党は単独過半数はなんとか確保しそうだけど、ギリギリで踏みとどまった感じだな」と思い床に就き、翌朝起きると自民党が261議席と、過半数を大きく上回る絶対安定多数を獲得しており、「各社の予測、外れてるやんけ!」ってなりましたw
結果的に予測を唯一当てた形となった朝日新聞はネット調査を取り入れていたようですが、RDD方式による電話調査はもう限界が来ているのでしょうか。
実は私も選挙期間中、世論調査の電話がかかってきましたが、出なかったんですよね。平日お昼の食事中、フリーダイヤルから着信があり「どこからじゃ?」と不審に思いその場では出ず。番号をググったら世論調査の電話であることが分かりましたが、「見知らぬ番号、しかもフリーダイヤル」からの電話って初手では出ない人が多いのではないでしょうか・・・。
しかし、そうなると電話調査による内閣支持率などの各種世論調査の信頼性も揺らぎそうな気もします。
予測に関しては、以下の記事が話題になっていましたね。
衆院選予測はまたも各社が外す結果に、情勢調査の実情と限界 – 個人 – Yahoo!ニュース
個人的に注目したい大物議員の選挙区落選一覧
また、今回の選挙では大臣経験者などの大物議員が選挙区を落とすのが相次ぎ、話題になりました。個人的に注目したい大物議員の落選は以下の通り。
- 秋田2区:自民党 金田勝年 元法務大臣(72歳)が、立憲の緑川貴士(32歳)に敗れる→比例復活
- 岩手3区:立憲 小沢一郎(79歳)が、自民党の藤原崇(38歳)に敗れる→比例復活
- 千葉8区:自民党 桜田義孝 元五輪担当大臣(71歳)が、立憲の本庄知史(47歳)に敗れる→比例復活
- 東京1区:立憲 海江田万里 元経産大臣(72歳)が、自民党の山田美樹(47歳)に敗れる→比例復活
- 東京8区:自民党 石原伸晃 元幹事長(64歳)が、立憲の吉田晴美(49歳)に敗れる→比例復活もならず落選
- 神奈川13区:自民党 甘利明 幹事長(72歳)が、立憲の太栄志(44歳)に敗れる→比例復活
- 大阪10区:立憲 辻元清美 副代表(61歳)が、維新の池下卓(46歳)に敗れる→比例復活もならず落選
- 香川1区:自民 平井卓也 元デジタル大臣(63歳)、が立民の小川淳也(50歳)に敗れる→比例復活
- 福岡5区:自民 原田義昭 元環境大臣(77歳)が、立民の堤かなめ(61歳)に敗れる→比例は立候補しておらず落選
- 福岡10区:自民 山本幸三 元地方創生大臣(73歳)が、立民の城井崇(48歳)に敗れる→比例は立候補しておらず落選
- 熊本2区:自民 野田毅 元税調会長(80歳)が、無所属の西野太亮(43歳)に敗れる→比例は立候補しておらず落選
年齢も書いてみましたが、概ね「高齢者が若手に敗れる」という形にになっていて、然るべき新陳代謝がされている、というところでしょうか。ただ、全選挙区の結果をさっと見たところ、高齢者はまだ多く、今回の選挙で劇的に新陳代謝が進んだ、とまでは言えないと思います。まあ、日本自体が超高齢社会ですから…。
一番の衝撃は、自民党の現職幹事長である甘利明が落選したことでしょうか?比例復活当選したものの、自民党現職幹事長が選挙区を落としたのは史上初らしいですね。幹事長という大役に就いたことにより、却って自身の金銭疑惑をぶり返され、集中攻撃される形となり落選。
大物の落選は自民党だけでなく、立憲民主党も小沢一郎や辻元清美副代表が落選しました。辻元副代表に至っては比例復活もならず完全落選です。小沢一郎もだいぶ力を失ってるんですねぇ。。
期待なき選挙、岸田政権はひとまずの安寧?
衆議院議員総選挙というのは、本来は政権選択選挙になるはずですが、今回の選挙は全然期待感、高揚感が無かったです。
結局、政権を担いうる野党がいないせいでしょう。そうなると、一体何を選ぶ選挙なのか分からない。政党支持率で自民党が40%程度ある中、次点が立憲民主党の約10%では、政権交代どころの話ではありません。
今回も「野党共闘」「野党統一候補」が出てきましたが、「野党」という政党が存在するわけではない以上、野党共闘なんてものは欺瞞にしか過ぎないと思います。共闘でもなお、あるいはそのせいで、立憲民主党は議席を減らす形となり、この「野党共闘」路線も岐路に立たされることになりました。
でも、かといって自民党がベストなのか、といえばそうではないでしょう。私は基本的には右派なので今回も選挙区・比例ともに自民党に入れましたが、積極的支持ではなく消去法でしかありません。
甘利幹事長のような、自民党的「日本スゴイーーー!!!」のような日本礼賛は、もうキツくなってきました。方や立憲民主党を見れば「自民党ガーーー」「LGBT夫婦別姓ガーーーー」で、こっちもダメ。地に足をつけて、日本の課題を冷静に分析して政策を進めてくれる議員、政党がほしい。
その点、国民民主党が最もまともな野党であると感じます。今回の選挙でも投票しようかなと思いましたが、正直、政権選択選挙たる総選挙で弱小政党に票を投じる意味が見いだせず、見送りました。
まあ、自民党的には現職幹事長の選挙区落選という痛打を浴びせられたものの、絶対安定多数は確保し、ひとまずは岸田政権は安寧を得た感じでしょうか。議席を減らしはしましたが、昨今の衆院選で自民党は「勝ち過ぎ」だったと思うので、今回も単独絶対安定多数を獲得できたのですから、十分に勝利と言って良い結果でしょう。この選挙結果を追い風に、岸田総理がどれだけリーダーシップを発揮できるか注目ですね。
立憲民主党は、議席を増やすどころか減らすという、まさかの大敗北。ついに枝野幸男代表が辞任することになりましたが、新代表のもとで政権を担いうる野党として成長できるでしょうか。
次の国政選挙は、来年夏の参院選になると思われますが、その頃にはどうなっているでしょうねぇ。。
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