少し前にハミルトンの腕時計、カーキフィールド Titanium Engineered Garments Limited Edition(Ref.H70235130)を購入しました。

これはチタン製の腕時計なんですが、私が機械式腕時計でチタン製のものを買うのはこれが初めてです。
腕時計の素材といえば、ステンレスと並んでチタンもメジャーですよね。
しかし、機械式腕時計、特に高級腕時計の世界では、あまりチタン製のモデルはありません。
クオーツ式腕時計では、ソーラー電波などの実用性が高いモデルで一定以上の価格帯になるとチタンの採用が多くなるのとは対照的です。
チタンはステンレス以上の耐食性があり、軽量で、人体に対するアレルギーのリスクが少ないという素材です。その分高価で加工性も悪いことからコストがかかる素材ではありますが、それを除けば良いことづくめの素材であるように見えます。
私もチタンの高い実用性が気に入っており、「機械式腕時計、高級腕時計でもっとチタンが増えないかなぁ」と思っていました。
しかし、その一方で「チタンの腕時計は好みが分かれる(嫌いな人もいる)」とも言われています。
これまではそんなのただの戯言だと思っていましたが、実際にチタン製の腕時計を手にしてみて、なるほど確かにチタンは好みが分かれるな、と実感しました。。
チタンの質感は美しくない
まず、チタンの質感というのは、ステンレスのそれとは全く違います。
ステンレスはシルバー調の色味で普通の金属という感じで、仕上げ次第では輝き、美しさが出ます。
しかし、チタンはどことなく黒ずんでいる、くすんでいるような色味で、金属の輝き、美しさというのが感じられないんですよね。
高級感とか美しさを楽しむような素材ではないのです。
これにはチタンは加工性が悪く、美しい仕上げ加工がしにくいということも関係しているでしょう。
ステンレス製のロレックス・サブマリーナと比較してみるとこんな感じ。





写真だとなかなか伝わりにくい感じですが・・・。
チタン単体で見れば、チタンだけ使っていれば気にならないでしょうが、ステンレスの時計を使った後だと、このチタン独特の質感というのは明らかにステンレスとは違うということに気が付きます。
このチタンの“飾らない”質感を「ツール感があって良い!」として、好意的に見る向きもあるようですが、私としては「うーん、、、」ってところです。別にステンレスも華美と言うほどではないですし、くすんでいるからツール感とは・・・?と感じます。
正直なところ、チタンは使っていてテンションが上がる質感ではありません。。
チタンは軽すぎる
チタンは軽すぎて高級感、重厚感がない、というのも確かにその通りだなぁと思います。
かつてこの言説を目にした時は「なんて言いがかりだ」と思っていましたが、実際に手にするとそう思ってしまいますw
チタンの時計は軽さが特長ではありますが、軽すぎるんですよね。それは高級感、重厚感とはトレードオフです。
手持ちの時計で比較してみると、次の通りです。
モデル | 重さ | ケース径 | スペック |
---|---|---|---|
ロレックス・サブマリーナ | 151g | 41mm | 300m防水、自動巻きノンデイト |
オメガ・アクアテラ | 123g | 38mm | 150m防水、自動巻きデイト |
ティソ・PRX(40mm) | 126g | 40mm | 100m防水、自動巻きデイト |
ティソ・PRX(35mm) | 100g | 35mm | 100m防水、自動巻きデイト |
カーキフィールド Titan EG | 78g | 36mm | 100m防水、自動巻きノンデイト |
なんでPRXがサイズ違いで2本もあるの?というツッコミは禁止です。
だいたい普通サイズのステンレス製ブレスレットタイプの腕時計が120g前後であるのに対し、このチタンのカーキフィールドは78gと相当軽いです。
ティソ・PRX(35mm)もかなり軽い部類に入りますが、それでもケース部分は適度な重みがあり、心地の良い重さを感じます。
しかし、このチタンのカーキフィールドはそれをさらに上回る軽さで、全てが軽いので、なんか「ちゃっちぃ」感じがするんですよね。
もともとカーキフィールドは高級感を志向する時計ではありませんが、それでもちょっと「軽すぎる」って思ってしまいます。ケース径36mmと元々結構な小径なので、尚更そう感じるところはありそうです。
あと、軽すぎるせいか、触った時に部品同士が擦れる音、当たる音も、なんとなくちゃっちぃです。
チタンの腕時計は軽いという特性が安っぽさを出してしまい、重厚感からくる高級感はありません。
チタンは傷つきやすい
そして、チタンは傷つきやすいです。
しかも、色味がくすんでいるのでステンレスよりも傷が目立ちやすいように感じます。

まあ、傷は使っていれば避けられないものだし、それが味になるという面もありますが・・・。
腕時計はステンレス派に
正直、このチタンのカーキフィールドを手にして思ったのは、「腕時計はステンレスの方がいいな」ということですね(爆
同じカーキフィールドのブレスレットタイプでステンレス製のマーフ オートに食指が伸びかけたぐらいです←
チタン製のソーラー電波時計を使っていた時はチタンの質感は全然気にならなかったのですが、今回は機械式腕時計という趣味性が高いもので、それなりの価格(17万円)がするからですかねぇ。。。
正直これからチタンの腕時計を買うことはないかな・・・と思います←
ただ、チタンも「グレード5」という種類あり、高級腕時計でチタンが採用される場合はこちらが使われるようです。グレード5チタンは他の金属を混ぜて合金とすることで、これまでのチタン(純チタン)が抱えていた色味、加工性、硬度の問題の改善が図られた素材です。グレード5チタンなら、チタンの特長はそのままに、ステンレスに近い性質を備えているわけで、まさに理想に近い素材でしょう。
一回、グレード5チタンの仕上げというものが見てみたいですね。どれだけステンレスに近いのでしょうか?ただ、ただでさえ高いチタンですから、高級ブランドで採用されたものはとても手の届く価格ではありません。。
あ、このカーキフィールドのエンジアドガーメンツ限定コラボモデル自体は好きですよ!!小径でシンプルで完成度が高いモデルです。もちろんこれからも使い続けます。
ただ、初めてチタンの機械式腕時計を使ってみて、チタンの特性がよく分かったなぁということです。
腕時計の世界も、色々と買ってみると、色々と分かりますね。。
コメント
腕時計におけるステンレスとチタンの比較ということで、まさに私も気になっていた議題をありがとうございます。
下記質問させてください。
■「チタンの質感は美しくない」とのことですが、私がどちらかというと光沢が好きであり
マットな質感のチタンよりは、鏡面仕上げのステンレスの方が美しく感じてしまいました。
チタンを鏡面仕上げにするには、チタンの強度が高いこともあり加工が難しいためと考えておりますが
実情としてはいかがなものでしょうか。
■「チタンは軽すぎる」とのことですが、これについてはまさに同じ考えでございます。
先輩がオシアナスのチタンモデルを着用しているのですが、私自身が機械式の重厚感を気に入っていることもあり
軽いよりも、やや重い方が満足感があるように感じてしまいました。
やはり機械式時計においては、一定の重みがあった方が良いのでしょうか。
■機械式時計ではなく大変申し訳ございません。
私自身はApple Watchを所有しており、大半の方はアルミモデルを所有しているのですが
傷つきにくさや画面がサファイアガラスであることを踏まえ、「ステンレスモデル」を使用しています。
ところが、最新モデル「Series 10」では アルミ or チタン と二極化されてしまいました。
(チタンは加工が難しいはずなのに、鏡面仕上げになっていたため凄いと思いましたが…)
強度を考えるとチタン一択なのですが、ぼくや様の「チタンは傷つきやすい」という感想が意外で気になっております。
これについて、商品選択のアドバイスがあればご教示いただけますでしょうか。
★チタンの加工性について
チタンでも鏡面仕上げ自体はできますが、加工性が悪いため、美しい鏡面を出すにはコストがかかるということだと思います。
チタン製になると鏡面仕上げを用いた製品が一気に少なくなると感じます。
★機械式時計の重さについて
ある意味、軽さというのは実用性を示すものであり、
機械式時計という実用性よりも趣味性が高い分野では、実用的な軽さよりも、モノとしての重厚感があったほうが好まれることかと思います。
★Apple watchの素材について
アルミとチタンなら、チタンほうがいいかなぁと思います。
チタンの傷つきやすさも表面硬度の問題であり、コーティングや仕上げで改善できるものと思います。
鏡面仕上げなら傷つきやすさもあまり変わらないと思いますし、
やはり強度も考えるとチタンのほうが良いかと思います←