「国民待望」の石破総理は1年で退陣、高市総裁で女性初の総理誕生かと思いきや自公連立崩壊・・・混迷に陥る日本政治

なんかここ数ヶ月、日本の政治が混沌としていますね。。

「国民待望」だったはずの石破総理は1年で退陣

2024年の自民党総裁戦で高市早苗を破って総裁に選出され、誕生した石破政権。

石破茂といえばマスコミの「次の首相アンケート」では長年に渡り首位または上位の常連であり、言うなれば「国民待望の総理」だったはずの政治家でした。

しかし、就任直後に衆議院解散を断行し、これまでの7条解散に否定的だった主張との乖離や裏金議員への対処を見誤ったことで選挙では過半数どころか200議席割れの大敗を喫し、いきなり少数与党に転落。「就任直後の高支持下での選挙で勝利し政権基盤を確立する」というシナリオが完全に崩れ、就任早々困難に直面することになります。麻生太郎が就任直後の早期解散をしなかったことで政権を失い、菅義偉も早期解散をしなかったことで政権基盤を確立できず1年で退陣したのに対して、逆に石破茂が就任直後の解散総選挙をしたが故に政権基盤の確立に失敗するというのは何とも皮肉な結果でした。

少数与党の国会で混沌がもたらされるのではないかと心配していましたが、一応予算案は通り、混沌よりも「熟議の国会」に近いものになったのかなと。

しかし、もともと脆弱だった政権基盤に加えて少数与党とあって石破カラーを出せる余裕もなく、内閣支持率は低空飛行を継続。

反転攻勢の芽もなく迎えた7月の参院選では再び大敗を喫し、自公政権は衆参両院で少数与党に転落するという危機的事態に陥ります。

しかしかといって特定の野党が一大勢力に躍り出ることもなく、政権交代には至らず自民党が比較第一党として政権を維持。「国民は石破政権というより自民党にNOを突きつけただけ」という論調もあり、石破も辞任せず政権の維持を図りますが、二度の国政選挙での大敗を受けて「石破おろし」が本格化し、総裁選前倒し決定すんでのところで辞任を表明するに至り、国民待望だったはずの石破政権は僅か1年で終焉を迎えることになりました。

必然だった石破退陣

就任直後の衆院選での大敗後、そして参院選での大敗後でも国民の間では「石破責任論」はあまり拡大を見せず、何なら「石破擁護論」が数多く聞かれました。選挙結果はあくまでも自民党に対するNOであって石破個人に対するNOとは異なるものだった性格が濃く、また左派を中心に石破の次に来るであろう高市早苗、小泉進次郎を警戒し「石破の方がマシだ」という風潮があったからです。

それもあって当の石破本人も辞任するつもりは無く、なんなら石破おろしに対して解散をチラつかせて圧をかけるなど今後もやる気満々とされました。

しかし、私としては、やはり国政選挙で二度も大敗を喫して、最高責任者たる総裁が責任を取らずにその座に居座り続けるというのは、流石に無理があるんじゃないかぁと思っていました。いくら個人に対するNOではないとはいえ、国政政党のリーダー、まして与党のリーダーには選挙に勝たなければならない責務がある。それで二度も負けて総理総裁の座に居座るなんて、いくらなんでも道理が通らないんじゃないかと。まして党内対立を封じるために衆院解散なんて暴挙にも程がある。

結局、菅・小泉の説得もあり解散行使には至らず退陣するわけですが、国民待望の石破総理は1年であっけなく終わったなぁと。。

左派を中心に演説がいいだとか戦後80年談話に向けた動き等を評価する声はありましたけど、総理の仕事は演説することではなく政策を実現することなわけですから、それ自体は個別に評価できたとしても、それでもって「石破総理は素晴らしい」という政権全体の評価には繋がらないと思います。

総理総裁への就任に執念を見せ、ついに念願の総理になったものの、結局何もできずに終わったなぁというのが率直な感想です。

まさかの高市新総裁誕生、まさかの自公連立崩壊

石破辞任を受けての総裁選では、まさかの高市早苗が新総裁に選出。

1年前の総裁選で嫌われ者だった石破vs「女・安倍晋三」として保守層からの高い人気を誇る高石早苗の決選投票となったとき、「高市はさすがに右すぎる」として嫌われ者の石破が勝つぐらいでしたから、今回高市vs進次郎の決選投票になったら進次郎の勝利は堅いと思われていました。

しかし蓋を開けてみるとまさかの高市勝利。TV中継をリアルタイムで見ていてびっくりしました。

参院選では参政党も躍進しましたし、世論が右傾化する中で自民党も保守回帰、保守層の取り込みに舵を切ったということでしょう。

世論の右傾化もあって高市は一般党員から高い人気を集めており、総裁選期間中「党員票で圧倒すれば議員も無視できない」みたいな「高市陣営の話」も聞かれていたのですが、2012年の総裁選では石破が安倍に対しダブルスコアに近い圧倒的党員票を得ていたのを思うと、隔世の感があります。。

そしてそのまま「女性初の内閣総理大臣の誕生」かと思いきや、公明党が連立離脱を突き付けるまさかの事態に。

これには本当に驚かされました。連立協議難航も単なるブラフ、党内向けポーズかと思っていたのですが、まさか本当に離脱、解消するとは。

本来、自民党と公明党は主義主張に隔たりがある存在で、お互いの打算により連立を維持していたわけですが、国政選挙連敗、世論の右傾化にある中で保守派の高市総裁が誕生し、それに加えて裏金議員の重用されるなどして、ついに公明党の堪忍袋の尾が切れた格好です。総裁選前から高市を念頭に懸念を発するなど予兆はあり、右翼の高市が総裁になるなら連立は厳しいというのは既定路線だったのかもしれません。自民党がそこまで右に突き進むなら、公明党が付いて行くのはもう無理、ということなのでしょう。

公明党が連立離脱したことで野党勢力の結集による政権交代のハードルはぐんと下がりましたが、それでもなお「野合」でしかなく、政権交代も難しい。となると自民党政権が継続する可能性が高いわけですが、高市政権は厳しい船出を迎えることになります。この前は少数与党にあって維新と国民民主を競わせて(?)天秤にかけるという芸当を見せましたが、これからは立憲民主または「維新+国民民主」「国民民主+公明」「維新+公明」の賛成を取りつける必要があり、政権運営はより厳しさを増すでしょう。

私は、国政の安定は公党の責務であり、衆参両院で過半数を占める勢力が不在となる中で野党がいつまでも都合の良い立場から文句を言うだけではあってはならず、国民民主か維新のどちらかが自公連立に加わり政権を安定化させるべきだと思っていたのですが、今回の公明党の連立解消によって、安定的な国政運営はより困難になってしまいました。

首班指名選挙で高市が選出されたとして公明党に切られるぐらいの調整能力しか無いなら少数与党での政権運営にはやはり不安が残るし、野党勢力が国民民主・玉木を担ぎ上げたところですぐ政権は瓦解するでしょう。

新総理が衆院解散に打って出て事態の打開を図ろうにも、今の情勢では危険な賭けになります。自民党も高市効果で保守層を取り込める期待はあるものの、公明党の支援無しに選挙区で十分な議席を確保できるかどうかは未知数。野党も、国民民主党や参政党がいきなり大量の候補者を擁立し100議席越えの勢力を獲得できるかといえば、そのような力はまだ無いでしょう。ほんと、こういうときにまともな野党が居ないというのは困りますね…。

公明党の連立離脱で一気に混迷を極める政局ですが、ほんと、これから政治はどうなっていくんでしょうかね・・・。

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