セイコー製ダイバーズウォッチの秒針夜光の謎

セイコーのダイバーズウォッチを見ていると、違和感を覚えるモデルがあります。

例えばこのSBDJ063とか。

セイコー・プロスペックス SBDJ063 公式サイトより引用

お分かりいただけただろうか・・・。

これ、秒針の夜行塗料が針の先ではなく針の根本側、カウンターウェイト側に付いてるんですよね。

SBBN047とかもそうです。

セイコー・プロスペックス マリンマスタープロフェッショナル SBBN047 公式サイトより引用

今ではかなり廃盤になっていて数は少なくなっていますが、セイコーダイバーズのクオーツ式モデルでは基本的に秒針の夜光が根本、カウンターウェイト側に付いています。

・・・これ、ちょっとおかしくないですか???

腕時計における夜光とは、暗闇の中でも時間が読み取れるようにするためのものであるはずです。そして言うまでもなくアナログ時計では針の先が時間を示しています。

となると、針の根本側に夜光が付いていても暗闇で時間(秒)を読み取ることはできません。

いや、60秒進めれば現在の時間は分かりますが、それは機能として成立しているのでしょうか???

セイコー以外の主要な時計メーカーで、針のカウンターウェイト側に夜光が付いている時計なんて見たことがありません。

機能的に劣り、かといってデザイン的な優位性があるわけでもなく、見ていてすごくへんてこりんに感じる、モヤモヤするデザインです。

クオーツ式の限界ゆえの妥協のデザイン?

現在そういうデザインになっているのはクオーツ式のみですので、「トルクが足りないから」という原因が予想されます。

一般的に、時計の針を動かすトルクは機械式が強く、クオーツ式は弱いです。クオーツ式腕時計で細くてペラペラのしょぼい針が多いのは、このせいです。

そこで長い側の針の先に夜光を付けると、バランスを取るためにより大きなカウンターウェイトが必要になるのでしょう。

しかし、そうすると秒針全体として重くなり、クオーツ式のトルクでは動かせなくなる、と。

とはいえ、針とインデックスに夜光が付いているというのはダイバーズウォッチをダイバーズウォッチたらしめている要素であり、秒針だけ夜光を省くという選択肢をとるのも難しい。

ISOのダイバースウォッチ規格でも「時計が動いていることを表す装置が暗所で確認できること」という基準があり、通常これは夜光付き秒針で実現することになります。まあ、必ずしもISOに準拠しなければならないということはなく、実際セイコーもISOに準拠しているとは謳っていませんが、それなりに意識はされているはずでしょう(対するシチズンはDIVER’S表記がある時計は全てISO準拠だったりしますが)。

そこで苦肉の策として、カウンターウェイト側に夜光を付けることで、針の重量増加を最小限に抑えつつも夜光を付けるということを実現したのではないか、と。

なので、これはあえてそうしているというデザインではなく、単なる妥協の産物なのではないでしょうか。

しかし、シチズンのクオーツ式ダイバーズウォッチではそんな妥協のデザインをした時計は無いんですよね。

シチズンのクオーツ式ダイバースウォッチ、プロマスター BN2060-54L 秒針夜光は針の先だ。 公式サイトより引用

ことクオーツ式ではシチズンの技術力が高いイメージがありますが、セイコーを凌駕しているということでしょうか。。いや、セイコーの技術力が低いだけなのか・・・。

グランドセイコーもカウンターウェイト夜光の謎

しかし、グランドセイコーの時計を見ていたら、なんと、グランドセイコーのダイバーズウォッチも秒針のカウンターウェイト側に夜光がついているではありませんか!!!

グランドセイコー SBGH289 公式サイトより引用

しかも、これは機械式モデルです。十分なトルクがあるはずなのに、なぜ!?

セイコー渾身の新機軸エボリューション9コレクションのダイバーズウォッチも、まさかのカウンターウェイト夜光です。

グランドセイコー SLGA023 公式サイトより引用

このモデルはスプリングドライブですが、スプリングドライブは機械式と同じ仕組みで針を動かすためそのトルクは機械式と同等のはずです。

しかもスプリングドライブはセイコー独自の駆動方式であることから基本的には上位モデル扱いなのに、この妥協と思われていたデザインが採用されるとは・・・。時分針をでかくした結果、トルクが不足したのか・・・?

いやしかし、さすがに最高級ラインのグランドセイコー、しかも渾身の新作に妥協のデザインを採用するというのも考えにくいです。もしかして、セイコーは良かれと思ってこのデザインを採用しているのでしょうか・・・?

でも先に述べた通り、時間を読むという機能的には劣りますし、別にカウンターウェイト側に夜光が付いていた方がカッコいいみたいなデザイン的な優位性もありません。

セイコーは国産初のダイバーズウォッチを開発したパイオニアと言う自負があり、ダイバーズウォッチには力を入れているメーカーです。その系譜を受け継ぐプロスペックスシリーズの機械式ダイバーズウォッチでは、そのようなデザインは採用されていません。

セイコー・プロスペックス SBDC197 セイコーの正統派ダイバーズウォッチだが、秒針の夜光は針先だ。 公式サイトより引用

いくらGSに採用されているとはいえ、セイコーがこのデザインを先進的だ、個性的だ、と思って採用しているのはやっぱり考えにくいですね・・・。

グランドセイコーならこのデザインの意図が解説された公式ページやインタビュー等の資料が何かあるかもしれないと思って色々調べてみましたが、この「秒針のカウンターウェイト側夜光」に関する情報はありませんでした。。

うーーーん、謎です。

プロスペックスやグランドセイコーのダイバーズウォッチが悪いものだとは思いませんが、ちょっとこういうへんてこりんなデザインになっているのはちょっと受け入れ難いですね。。

この謎のデザイン、これから消えていくのか、それとも残り続けるのか、、、どうなんでしょうか。。

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