それでも僕はもうThe Last of Us Part 2をプレイしたくない

気付いたらいつの間にかPS5のThe Last of Us Part 2 Remasteredが発売されていました。1月19日発売だったんですね。

気付いたら発売されていたぐらいには、このゲームには興味が無かったということです。

というか、The Last of Us Part 2はもう二度とプレイしたくないゲームです。

!!以下、「The Last of Us」「The Last of Us Part 2」の重大なネタバレを含みます!!

PS3を代表する傑作 The Last of Us

前作The Last of Usは、PS3末期の2003年6月に発売されたゲームです。

開発を手掛けたのはNaugthy Dog。

もともとクラッシュバンディクーで知られるスタジオでしたが、PS3時代になってからはアンチャーテッドが大ヒット。一流のゲームスタジオとしての地位を確立したNaughty Dogが、アンチャーテッドシリーズとは全く異なるアポカリプスもののサバイバルホラーゲームとして制作したのがThe Last of Usでした。最初はへんてこりんな、印象的なタイトル(名前)だなぁと思っていたものです。

その後のゲームの出来や評価は周知の通りで、PS3を代表する名作、いや傑作として、The Last of Usは歴史に名を残したゲームであったと言えます。

「開始30分で泣いた」とレビューされるほどの強烈なプロローグ、当初は仕事上の関係でしなかったジョエルとエリーが荒廃した世界を生き抜き、次第に親子のような関係を築いていく様、そして最後の「ジョエルの決断」によりもたらされるハッピーエンドともバッドエンドとも言えない微妙なエンディングなど、洋ゲーとしては珍しく心打たれるストーリーでした。

「約束された神ゲー」だったThe Last of Us Part 2

The Last of Usは「微妙なエンディング」で終わりましたが、別にそれは続編を匂わせるようなものではなく、Naughy Dog自身も当初は1作で完結するゲームとして続編を作る意思は示していませんでした。

私自身も、この作品に続編を作るとすれば蛇足になるだけだと思い、続編を望むことはありませんでした。もちろん、作られたらそれはそれで嬉しいけど、強くは望まない。こんな感じで考えていたゲーマーも多かったろうと思います。

そんな中、発表されたのがThe Last of Us Part 2。正統な続編が作られることになったのです。

トレーラーが発表されるたびにチェックして、その圧倒的なグラフィック、臨場感や表現に圧巻され、発売を待ち侘びました。

The Last of Us Part 2は傑作の正統続編として、まさに「約束された神ゲー」だったのです。

そう、発売される、その日までは・・・。

蓋を開ければ世紀の問題作

前作と同じようにPS4末期の2022年6月にThe Last of Us Part 2は発売されました。

私ももちろんすぐ購入し、期待を胸にプレイを始めました。

しかし、開始2時間で絶望の底に叩き落とされることになります・・・。

あまりにも酷(むご)すぎるジョエルの死

なんと、開始2時間で前作の主人公ジョエルが凄惨に殺されるのです。

プレイを進めていくと、謎のグループの少女アビーにゴルフクラブでボコボコにリンチされ、血だらけになり瀕死の状態になったジョエルが。そしてゴルフクラブで頭をかち割られ殺害されるシーンを見せられます。

この時、長い間ゲームを遊んできてこれまで感じがことがない感情に襲われました。それは、悲しみ、怒り、憎しみ、全ての負の感情が入り混じったような、とてつもなく不快なものでした。とにかく、これまでのゲーム人生の中で最も大きく感情が揺さぶられた瞬間でした。悪い意味で。

このジョエルの死は、率直に言ってあまりにも酷(むご)すぎるものでした。マジでPTSDになるんじゃないかって思ったぐらい。これまでCERO Zのゲームはたくさんプレイしてきましたが、PTSDになるかと思ったのは初めてでした。

前作で主人公として長い物語を共にしたジョエル。今作でエリーが主人公になるとしても、エリーの父代わりとしての活躍を期待されたジョエルがリンチされ、虫の息になった姿を見せられたうえ、目の前で殺害されるわけです。しかも謎のグループに、訳が分からぬまま。

前作の主人公たるジョエルの死はある程度予想がつくものではありましたが、その描写はあまりにも度が過ぎて凄惨だったと思います。

真の主人公はアビー???

当然、エリーはジョエルを殺害した謎のグループ、そしてアビーに対して強い憎しみを抱き、復讐の旅へ出ます。プレーヤーもエリーと全く同じ気持ちでストーリーを進めていくことになります。

しかし、このゲームのもう1人の主人公はアビーだったのです。

途中で挟まるアビーの操作パート。反対側の視点も見せるというのはよくある演出なので、アビーパートは演出上の短いもので終わるものとばかり思って進めました。だって、あの憎しみの対象でしかないアビーなんて、全然操作したくないですから。

でも全くアビーのパートが終わらない。スキルツリーを見ても「ちょっとした演出」程度の規模じゃない。え、これ、主人公はアビーなの???

結局、プレーヤーはエリーのパートと同じぐらい、いやそれ以上にアビーの操作を強いられるのです。

正直、このプレイ体験は終始不快なものでした。冒頭のジョエル殺害によりアビーに対して強い憎しみを抱いた状態でそのアビーのプレイを強いられるのは、多くのプレーヤーにとって受け入れ難いものだったでしょう。たとえ、アビー側の都合が分かったとしても、です。このアビーという少女の存在も事前には明かされていなかったため、尚更プレーヤーは困惑しました。

暴力、暴力、暴力・・・

The Last of Us Part 2は冒頭のジョエルの凄惨な死に始まり、とにかく暴力、殺人の描写が続きます。

特にエリーの目的は復讐なわけですから、アビーの友達、組織の仲間を次から次へと殺して回ります。もちろんアビーも生きるために敵を殺して回ります。プレイ中だけではなく、カットシーンでも克明に殺人が描かれていきます。

もともとが復讐という重苦しいテーマでしたが、終始繰り返される殺人のシーンにさらに心が荒みます。そして殺人を行うエリーの表情(反応)も生々しいもので、美麗なグラフィックも相まってとてもリアルに殺人が描写されるのです。

ゲーム史上、いまだかつてこれほど多く、そして克明に暴力、殺人を描いたゲームがあっただろうか?と思うほどです。

しかも、最終的にエリーはアビーに対する復讐(殺害)を遂げることはなく、カルタシスが無いまま、これまでの暴力が実を結ぶことはないまま、物語は終わってしまいます。

これはゲームではなく芸術作品だ

ジョエルのあまりにも凄惨な死、仇であるアビーの操作を強制されるもどかしさから、発売直後からレビューは大荒れ。「約束された神ゲー」は、神ゲーどころか世紀の問題作となってしまったのです。

ゲームのパートはよく出来ているし、PS4末期にあってグラフィックスの品質も非常に高く、ゲーム自体はよく出来ていると思いましたが、ストーリーがあまりにも問題でした。

結局、The Last of Us Part 2はゲームではなく芸術作品だったんだな、と思います。ゲーム史上最も「人間の業」に迫ったけれど、ゲームとしては面白くない。そんな“作品”です。

私もストーリーの2週目をすることなく、エンディングを見た後は2度とこのゲームを起動することはありませんでした。普段は2週目をしてストーリーをもう1回楽しむし、強くてニューゲームがあればまた別のゲーム性を楽しみ、やり込み要素をやり込んだりしますが、もうこのストーリーは見たくありませんでした。

TLoU Part 2が訴えたかったものは何だったのか

そもそも、何がテーマなのか、何を訴えたいのかもよく分からないんですよね。

「相互理解」とか「許し(赦し)」がテーマだとか言われていますが、本当にそうなのかな・・・と思います。それにしてはあまりにも残酷すぎる。

先述した通り、結局エリーはアビーを手にかけることを既のところで踏みとどまります。でも、それは「許した」ってことだったんですかね・・・?直前にジョエルとの記憶はフラッシュバックしたけれど、それって人の心を取り戻しただけで、アビーを許すこととは別のことじゃないかなって。

エリーはジョエルを殺され、同性パートナーのディーナから見捨てられ、アビーとの最終決戦で指を噛みちぎられたことでジョエルに教えてもらったギターも弾けなくなってしまいました。それに対して、アビーは父こそ殺されたましたが、父の仇を討つという目的を達成し、レブという新しい大切な人も出来て、ファイアフライの残党という希望を見つけるわけです。

そもそも、今作はアビーがジョエルを許さなかったことから始まった物語なのに、一方的にエリーだけが何もかも失い、最後はアビーが希望を見つけて終わるというのは、やっぱりどうしても腑に落ちません。

リアルな物語として、芸術作品として見れば芸術性の高い物語なのかもしれませんが、やっぱりゲームとしては面白くない物語です。これほど胸糞な物語は見たことがありません。

ここらへんのレビューは、IGN Japanのレビューが本当に秀逸です。ネタバレを上手く避けつつも、物語やゲームとしての問題を的確に突いています。各メディアによる先行レビューで絶賛の嵐の中、あまり芳しくない評価をつけたレビューとして非難?されていましたが、結局はこのIGN Japanのレビューが最も的確だったなぁと思います。

The Last of Us シリーズの今後

というわけで、The Last of Us Part 2は世紀の問題作だったわけです。

そしてPart 2のエンディングはアビーがファイアフライの残党を見つける、という、なんとも続編が作られそうな雰囲気で終わるわけですが、「Part 3」は出るんでしょうかねぇ…?

内容的にはアビーが主人公にしかならないと思いますが、「アビーが主人公ならやりたくない」というゲーマーは多いでしょう。かといって、エリーの物語を進めるにしても、ここからどう這い上がっていくのか、想像もつきません。

PS5時代に入り、The Last of Usのリメイク版、そして今回のPart 2リマスターしか制作していないNaughty Dog、そろそろ完全新作が出てもおかしくない頃ですが・・・。

単独版マルチプレイの開発が進められていましたが、その開発中止が伝えられたのは記憶に新しいところ。TLoUのオンラインマルチプレイは、めちゃくちゃ面白かったのでマルチだけでも期待していたのですが、それも叶わず、、、

TLoUのマルチって本当に面白かったです。一般的なゲームが早いスピード感で、弾も無限にあるような状態で展開されますが、TLoUのマルチは弾や物資が限られており、ゆっくりとしたスピード感で展開される異色のマルチで、それが本当に面白かった。そもそもTLoUの内容からしてシングルのストーリープレイがメインで「そもそもマルチなんていらない」「なんでもかんでもマルチ付けやがって」と思っていたのですが、いい意味で裏切られましたw マルチのせいでTLoUが人生で一番長く遊んだゲームなんじゃないかなって思うほどです。ただ、PS3時代はプレイ時間の記録はできなかったので、実際何時間遊んだかは不明ですが。。

まあとりあえず、Naughty Dogの新作には期待したいですし、頑張ってもらいたいものですね。。

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