私の最近のインターネットでの活動はtwitterに時々つぶやくぐらいで、このサイトや別に設けていたブログは長い間放置状態だったわけですが、なぜ今になってまた「サイト」をやろうとしているのか?再始動するにあたって、その理由を明らかにしたいと思います。
創造欲求を満たすため
最大の理由はこれですね。なんというか、やっぱり何かを作りたい、クリエイティブなことをしたい、という思いがどこかでずっとありました。
大学を卒業して会社員となり、経理部で仕事をするようになったのですが、それによって私のクリエイティビティが発揮される機会というのは、めっきり少なくなってしまいました。ルーティンの仕訳インプットをする、ルーティンの文書アウトプットする・・・。経理は数字を扱う部署ですから、作る文書といっても「数字を集計した表」に過ぎず、クリエイティビティが発揮されるものではありません。そのため、会社に入ってからというものの、ちゃんとした文章を作る、という基本的な創造からも遠ざかってしまっていたのです。このままでは文章力も下がる一方ではないかという危機感も年々増していきました。文字で表現するというのは、自己表現の最も基本的な手段の1つですから、その能力が下がるというのは極めて深刻な事態です。
再びサイトをやれば、サイトの構成やデザインを練ったり、記事を書いたりと、私の創造欲求を満たすこともできますし、文章のトレーニングにもなります。まさにWeb制作は今の私にとって光明であるといえるのです。
現代のWebに対するアンチテーゼとして
今の時代に、ブログでもなくYouTubeチャンネルでもなく、わざわざサイトを立ち上げる(再始動)というのは逆行しているように思えますが、だからこそあえてサイトをやりたいと思っています。
個人サイトの時代からWebに触れてきた人たちは感じていると思いますが、現代のWebって流れがとても速くなっていますよね。SNSの登場により、情報の発信や共有は圧倒的に簡単になりましたし、情報が与える影響も格段に大きくなりました。しかし、それによって情報は一瞬で消費され、次から次へと目まぐるしく移ろうようになりました。多くのSNSでは、人々の投稿やニュースは「流れるもの」であることからしてそれは自明です。そして、「流れる」ために人々が発信する情報は「記事」のようなまとまったものではなく、文字通り「つぶやき」程度の小粒なものへと変化していったのです。
個人サイトが衰退を迎え、ブログが普及し始めた時、私は「ブログは誰でも簡単にできるし、そのせいでクソみたいな情報が蔓延するようになった」と思っていました。その頃、Web検索をするとブログ記事がたくさん出てきましたが、個人が手をかけて作ったサイトに比べるとボリュームが少なく、価値の乏しいものであるとふうに考えていたのです。しかし、今やSNSで発信される情報はブログ以上に乏しいもので、短い投稿で表現できるのは単なる「感情」でしかないことがほとんどです。例えば、SNSでは映画の情報を検索しても、「おもしろかった!」とか「つまらなかった」とかいう、たったの一言を得るのが関の山です(それが一瞬一瞬のトレンドを形成したり、個人情報と結びつき大量に集合することによって、ビッグデータとして価値のある情報になったりすることに関しては否定しませんが)。
そうしたWebの変化によって、相対的に今やブログの情報でさえボリュームが多く価値のあるものとなった、そのような情報を発信できる貴重な手段になっているといえます。よって、今や個人サイト、ブログでも現代のWebに対するアンチテーゼとして十分に成立するのではないか、と思うのです。それだったら、ほんの少しではあるかもしれませんが、やる意義も、面白さもあるはずです。意義がある、面白さがある、というのは結構大事で、かつてここでやってきていたブログが放置されたのも、結局は「わざわざやる意義がない」という結論に至らざるを得なかったのも大きかったと思います。
また、今Web検索をすると、拝金主義のアフィリエイトサイトがとても多くヒットするようになりました。その中にはSEOや話題性だけを考えた、お世辞にも質が高いとは言い難いページも多く、残念な気持ちになるのもしばしばです(別に個人サイトがおしなべて高品質だった、というわけではありませんが)。「昔は『ググれカス』と言われたが、今や『ググってもカス』である」と言われるようになり、それには私も同意できる部分があります。Web検索をして牧歌的な個人のサイトやブログがヒットすると、ある種の嬉しささえ感じます。なので、Webを少しでもユーザー側の手に取り戻すためにも、個人のサイトという形でやっていきたいと思います。
Movable Typeを選んだ理由
今回はCMSのMovable Typeを導入しています。CMSを使わずに昔ながらの手法で作っていくことも考えましたが、ゼロからの制作になるのでコストがかかりすぎますし、HTML5の登場やスマートフォンへの対応など、現代のWeb制作は素人がやるには高度化しすぎです。それに、昔の個人サイトをやっていたときも、今日のCMSのような仕組みが欲しいなと常々思っていましたので、CMSを使わない理由がありません。
Movable Typeといえば、かつては多くのサイトで使われていたトップシェアのCMSでした。しかし、今となってはWordPressが圧倒的なシェアを誇っており、Movable Typeのシェアはもはや風前の灯火です。当サイトの前身である「15円」も、途中からWordPressを使っていました。ちょうど「15円」がWordPressに転換したあたりから、Movable TypeからWordPressへの流れが本格化したように思います。今、Movable Typeを選ぶのは逆張りとなりますが、今回は静的なサイト作りがしたかったのでMovable Typeを選びました。動的か、静的か、というのはWordPressとMovable Typeの比較で必ず挙げられる大きな違いですが、これが決め手となったわけです。これは全くもって個人的で、しょうもない意見なのですが、やっぱり「.html」で終わるURLのほうが、個人サイトという感じがしませんか?(爆) 動的生成であるWordPressでは、そのようなURLにはなりません。それに万が一、サーバーに不調が生じても、静的なCMSであればページは表示され続けます。静的な方が安定性が高いのです。個人サイトはいつ何時放置されるか分かりませんからね。そういうわけで、WordPressではなく、あえてMovable Typeにしました。今の時代は他にもいろいろがあったのかもしれませんが、ぶっちゃけ昔から有名なWordPressとMovable Typeぐらいしかよく知りませんし、今から比較検討するのも大変なので・・・。
しかし、ブログ用CMSと思っていたMovable Typeも、今やどちらかというと汎用CMSに進化している感じです。インストール後、インデックスを表示するのさえ手こずりました。サイトの構造がちゃんと定義されたテンプレートを選ぶか、自分でそれを定義しないとインデックスさえ表示されないのですが、初期選択のテンプレートが完全に空のものだったので、表示されなかったのです。WordPressなどブログ用CMSであれば、インストールして適当にテンプレートを選ぶと、すぐサイトが表示され、簡単に始められるのですが、Movable Typeはそうはいかないんですね。もはや「ブログを作るためのCMS」ではなく、あくまで「ブログも包括したサイトが作れるCMS」って感じです。これはまともにサイトを構成するだけでも結構労力がいりそうなので、ちゃんと整備ができるようになるまでにはちょっと時間がかかりそうです。今はとりあえずシンプルなテンプレートを選んで、サイトが表示される状態にしている感じです。最も、そんなに凝ったデザインも必要ないでしょうから(むしろシンプルな方が個人っぽい感じが出る?)、デザイン的にはこのままでも良いのかもしれませんが。まぁ、そのあたりはおいおい整えていきたいと思います。
2023年3月追記:結局、Movable Typeには見切りをつけて、WordPressに移行しました。。
コアサーバー&WordPressへ移行した – dabadabadaba
というわけで
そういった理由で、またサイトを手がけていこうかと思います。ここらで大分長くなったので、方針などについては、別に投稿しようと思います。繋ぎで投稿していかないとネタも無いしね。
でわっ。
コメント
Movable Type が衰退した理由を調べていて、検索にヒットしたので来てみました。
近年の人々のインターネットにおける振る舞いを評価する尺度が、大変うなずけます。さらに、
「ちゃんとした文章を作る」、「やる意義も、面白さもある」、これは意味のあることだと思います。
ぜひ、よい情報発信をされてください。
※本文「Movable Typeといえば…」で始まる段落の第2文「Movable Typeのシェアはもはや空前の灯火です。」は「風前の灯火」ではないでしょうか。(いきなり、失礼しました。)
※(このコメントは、ひとことお伝えしたかったまでですので、削除していただいて構いません。)
感想と激励、ありがとうございます。こういうコメントという形で他の人の感想や意見に触れることができるのも、サイトをやる醍醐味の1つですから、大変うれしいです。削除なんてする必要は全く無く、大歓迎です。
Movable Typeの衰退は、2000年代前半からWebに触れてきた身からすると興味深いテーマです。
誤用の指摘、ありがとうございます。早速修正しました。音は似ていますが、「空前の灯火」は冷静に考えるとおかしいですねw